2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧
ヨーロッパの書物や雑誌で見る論争と,日本のそれとの一つの顕著なちがいは,前者では,論争相手の主張が──多くの場合 非常に長い引用で紹介されているので,相手が大体 何をいかにのべているのかが反対者の文章を通じてでも見当がつく.日本の場合には,相…
不可算名詞が通常は個数を数えられない (#three wines / three glasses of wine) のと同じように,ふつう,状態述語は回数を繰り返せません: A specific indication of replication is the adverbial phrase again and again. As expected, it only occurs …
定延利之『煩悩の文法』(pp.62-66) では,次のような例をあげて,頻度(「時間的な分布」)が「空間的な分布」を表しているかのようにみえることがあると述べています: 定延なんて名字の人,めったにいないですよね. どんな反社会的な考えでも,行動に表わ…
「教えて! goo」に「発話行為とは」と題する次のような質問が投稿されていました: 今、英語の語用論について勉強しているところです。その中で、発話行為 (speech act)について学んでいるところですが、発話行為とはどのような行為かということがいまいち…
野尻ボードから,かかPの書き込み: 「タミヤの0.5mm透明プラ板」に「マッキーのような油性マジック」で好きな絵を 描いて…っていうか透明なんでトレスして、薄いのでそのまま普通のハサミで 切り抜いて、トースターであぶれば縮んで丁度良い感じのキーホル…
スライダーの左側的な意味で. まずは嬢に魚をさばいてもらいました:
小飼弾さんが書かれた「English - can の未来形」に,はてなブックマークで次のようなコメントを記しました: ※デタラメ:to can がダメなのは(法)助動詞だからではなく英語の法助動詞には原形がないからです|二/三人称主語+shall は「神」の意志ではな…
A: 好きなタイプは? B: 人間. こんな中二病的なやりとりを思い浮かべられるうちは若いのだと思います.今日もがんばります.
昨日のエントリに少し補足を.「できる/できない」の議論では,考慮する事柄が異なっているためにすれちがいが起こるケースがあります.たとえばこういう感じです: A: もっとスピーカの音量あげてよ B: いや,できないよ(そんなにあげたら隣に迷惑だから…
テキストの理解と意図にかんしてしばらくkugyoさんと会話を続けてきました.ぼくの方からはとくに書くことがなくなったので,差し障りがなければ今回のお返事で一区切りつけたいと思います. 以下,このエントリでは,kugyoさんが「optical_frogさんへの再々…
黒影さんのはてなブックマーク経由で知った "Questionable Organizations: An Overview" を訳して紹介します.医療関連には日本でもあやしげな団体がありますが,この文章ではそうした団体を判別する手がかりを9項目あげて解説しています. 文中のあやしい団…
しかし圧倒的に腕組みが足りません
マーク・ピーターセン『図解!英文法入門』より,「たしかにそうだなぁ」と思った箇所を抜粋します: まず,「a を付けるか the を付けるか……」と言いますが,実はこの言い方はちょっとヘンです.あえて「付ける」という言葉を用いるなら,本当は「a や the …
『黄色い本』を描いたあとに,どっと疲れが出ましてね.漫画を描くのがいやになってしまったんです.顔がダメなんです.描きたくない.風景なら平気なんです. マル描いて目鼻を入れたあたりでげんなりする.自分のものじゃなく,ひとの描いた絵でも,目鼻の…
kugyoさんが J. O. Urmson "Literature" の訳で少し苦心しておられる箇所について私見を記します.コメント欄に記すにはやや長いのでこちらに記しておいてトラックバックを送ります. 脚注の *4 が付いている箇所の訳: どうやら「モナリザ」は普段ルーブル…
kugyoさんから「再応答」をいただきました: optical_frogさんへの再応答:なぜ他者の意図(意識)は常に虚構(見なし)なのか 以下,これについてお返事を. 同意できていること kugyoさんが提示されている「実用論的汎反意図主義」をめぐって,ウェブ上で…
「英語式語順は、自然な思考の順番に反する」研究結果 - WIRED VISION Susan Goldin-Meadow, Wing Chee So, Aslı Özyürek, and Carolyn Mylander, "The natural order of events: How speakers of different languages represent events nonverbally" - Proc…
ニコニコ動画でメンテナンスがあるたびに,「あの動画はメンテナンス明けにはきえてんじゃない?」といった発言を目にすることがありまして,なんとなくメンテナンス作業には違反動画の削除もふくまれているように思いこんでいたのですが,そんなことはない…
いまひとつ用途のわからないまま試用している tumblr から,走り書きを自己引用: コーパスの使用がひろく普及するにつれて事例の収集は意義を失ったかというと,そういうわけではないな,と思う.「こういう用法があるのか,面白いな」「こんな言い方もでき…
さて,訳者は,学生から言語を研究するために何を読めばよいかと尋ねられたら,迷わずノーム・チョムスキーとドワイト・ボリンジャー(Dwight L. Bolinger),それにレイ・ジャッケンドフを読みなさいと答えます.チョムスキーからは言語に関する議論を突き…
via 「女子リベ」様:
さっき帰りに本屋でみかけて「あれっ」と思って購入しました.煩悩の文法―体験を語りたがる人びとの欲望が日本語の文法システムをゆさぶる話 (ちくま新書)作者: 定延利之出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/07メディア: 新書購入: 2人 クリック: 95回こ…
先日のエントリで,下記のようにじぶんの考えをまとめておいたのですが── ぼくの考え: 基本的に文学テキストでは実在する作者の意図を考えなくてもいいけれど,通常の場合,テキストを理解するにはその虚構の語り手の意図を考えないといけない. 文学にかぎ…
おとついのエントリ「kugyoさんへの提案:文/発話および現実/虚構の意図を区別すると便利です(多分)」に対して,kugyoさんから応答 (1) と応答 (2) にわけて丁寧なリプライをいただきました: 「optical_frogさんへの応答:実用論的汎反意図主義(汎テク…
意味論・語用論の教科書(著者によれば学部3−4年から大学院レベルとのこと)から,意味のレベルに関する箇所を抜粋して訳しました: Meaning in Language: An Introduction to Semantics and Pragmatics (Oxford Textbooks in Linguistics)作者: Alan Cruse,…
「わしンち」様の7月1日*1より: 1.『海晴姉様は、私のことが大切だから叱る』*2 2.『兄は、私のことが大切じゃないから叱らない』 1が真なら、2もまた真である。 (1) P → Q (2) ¬P → ¬Q 語用論的にはトゥルーです.*3 *1:過去ログに入った場合はこちらかな…
昨日のエントリに関連して,少し虚構論をつまみぐいしています.よくわからない領域ですが,ぼくからみて「ひとまずこれなら出発点にしやすそうだな」と思ったのが下記の「虚構伝達」の定式化: 話者Sは テクストT を発話することによって,以下のことを意図…