中断節を入れると会話っぽい訳文になるかも?
サールてんてーのインタビューを訳していて気付いたことなのですが,どうも,会話らしい訳文にするには「〜から」とか「〜ですし」みたいな中断節を適度に使ってあげるとそれっぽくなるみたいです.
たとえば――
|サール:
もし誰かがみかけと現実の区別なんてものはないと言ってるなら,そいつは絨毯を集めたりはしないよね.先生やってるとして,学生のペーパーを採点しようとはしないはずだし.|G.F.:
ローティもデリダも,偽金で支払われるのはこばむでしょうし.|サール:
そうそう.
というような箇所です.
『ピーナッツ』の谷川俊太郎訳をみてみますと,中断節がうまく使われているのに気付きます.
- Why am I standing here in the rain waiting for the school bus?
- So you can learn how to spell and multiply fractions.
- And learn a trade, and make lots of money.
- So you can feed your dog.
- どうして私ここで雨の中に立ってスクール・バス待ってるの?
- スペリングと掛け算覚えるためさ
- それに商売を覚えて,お金を沢山もうけるためよ
- そうすりゃドッグフードも買えるしね
(『A Peanuts Book featuring Snoopy』vol. 16, pp. 114-5.)
最後の "So you can feed your dog." はちゃんと完結した独立節ですが,谷川訳は「そうすりゃドッグフードも買えるしね」となっていて,「そうすりゃドッグフードも買える」で切っていません.
あと,こんなのもありますね:
今話してもしかたがないし
でも言いたくてしかたがないし
学校ないし家庭もないし
暇じゃないしカーテンもないし
花を入れる花瓶もないし
イヤじゃないしカッコつかないし