「俺がそう思いたがっているのだからそう思わせてくれ」


 視点についてもうひとつ.

 twitter でぶつぶつ言ったことをこちらに載せておきます.

ファイルを整理してたらこんな例文のメモがでてきた:「俺がそう思いたがっているのだからそう思わせてくれ」(銀英伝OVA, ep.93).若本ボイスで読んでいただきたい.(twitter)


追記:直前の発話も含めて引用します:

「いずれにしても.俺が不当に陥れられることがあるとしたら,フェザーンで,内務次官とかいう人間のフリをした害虫めの参画した結果にちがいないのだ.」
「しかし…」
「たとえ事実と異なってもそれは一向に構わん.俺がそう思いたがっているのだからそう思わせてくれ.」


メモにとってあるのはこれだけなので,もっと文脈を考えるにはこのエピソードを見なきゃだめっぽいです.

追記おわり.

「俺がそう思いたいのだから」にすると不自然で,ここは「俺がそう思いたがっているのだから」でないといけない.(twitter)

この例では主節が命令文になってるため,「そう思わせる」動作主である聞き手の視点から理由節がとらえられる.だから,「俺」の願望そのものを表す「〜たい」じゃなくてその願望が言動に出ているのを表す「〜たがる」が適切になる──のだと思う.(twitter)

さっきのポストの続き.命令文でも「チャンネル変えたいから,リモコンとって」は自然だけど「チャンネル変えたがってるから,リモコンとって」は不自然.(「チャンネル変えたがってるんだから,リモコンとって」はOKだけど「のだ」が入ってるのでミニマルペアにならない)(twiter)

この場合,「から」が表してるのが「なんでそう頼むのか」という理由になってる(言語行為の理由文).(twitter)

さっきの「俺がそう思いたがっているのだから」は,相手に頼む理由じゃなくて聞き手が話し手に「そう思わせる」動機を提示している.(twitter)