クルーグマン「フロリダ vs. スペイン」
「道草」の方がいまいち安定していないので,こちらに:
Paul Krugman, "Florida Versus Spain," NYT blog, June 2, 2012, 9:27 AM
「フロリダ vs. スペイン」
主に自分用の覚え書きとして:ピーター・ケネンによる最適通貨圏についての洞察はいまやよく知られている:財政的な連邦があるときの方が通貨圏は機能しやすい.連邦によって,不況下の地域に大規模な自動的移転が起きるからだ.さて,ぼくはよくスペインとフロリダを比較する:どちらでも巨大な住宅バブルが起き,そのあとはじけた.でも,フロリダは定年退職者や保健医療への支払いの多くをワシントンから受け取れる.じゃあ,その移転はどれくらい大きいんだろう?
ちょいと大ざっぱな計算をしてみよう:
1. IRS データから,フロリダからワシントンに払われる税金は2007年から2010年(不況のどん底)のあいだにだいたい250億ドル減少した.
2. 労働局データによると,2010年の特別失業保険プログラム――ワシントンから払われる延長手当――は2010年にだいたい300万ドルだった.
3. SNAP(フードスタンプ)データによると,フロリダへの食糧手当は同じ期間に約30億ドル増加している.
さて,ぼくの読み方だと,税金の支払いは減少する一方で連邦手当にはそれに匹敵する減少が起きていなくて,さらにセーフティネット援助が加わる――ここにメディケイドは算入していないけど,加えればさらに数字は膨らむ――ってことで,フロリダはワシントンから年間310億ドル以上の移転を受けていることになる.これは州のGDPの4パーセントにあたる〔参考〕.これは移転であって借金じゃない.そして巨額だ.
そうそう,それにフロリダでおきたファニー/フレディーの損失とFDICのコストも加えた方がいいね.
この規模の援助は,現体制の欧州では考えられない.これは大問題だ.