都市の人の流れをリアルタイムで地図にする


英『エコノミスト』誌の記事から:

「流れをおって」(Go with the flow)

(The Economist, March 10, 2007, pp.16-7)


追記2009-06-06/

ここに翻訳をのせていたのですが,消しました.Scribd においていた PDF は権利者に削除されました.

追記おわり



(※文中の「人流」はぼくの勝手な造語で,原文では people-movement です.記事の原文はここで全て読めます.『エコノミスト』の記事はこちら.「The Economistってなんぞ?」という方は山形浩生さんのこのページをおすすめします.ぼくもこれでようやく知ったクチです.)


 少し前に言及した『アンビエント・ファインダビリティ』で,RFIDタグによってモノやヒトが追跡&探索可能になる等々の話を遅まきながら読みまして,「うーむ,これはスゴイ(良くも悪くも)」と唸ったのですが,こういう技術の進展をみると「モノのインターネット」(Internet of Things) というのも誇大妄想なんかじゃないのかなぁと思わされます.

RFIDは明らかに,ご先祖様のバーコードとはまったく別物だ.RFIDアンビエント・ファインダビリティの世界への大きな一歩を体現している.われわれは人類史上 類例のない「モノのインターネット (Internet of Things)」について語っているのだ.製品や所有物,ペット,人までも,すべてが探索可能なオブジェクトに変わる.リストアップされ,検索可能になり,時間的,空間的にその位置を認識できるようになる.未来はすでに今日存在しており,われわれは世界が追いつくのを待っているだけだ.
(『アンビエント・ファインダビリティ』pp.105-6)

今日存在する未来は,ウイルスのように明日へと広がり変異していくであろう.位置情報対応のモバイルコンピューティング機器,ユビキタスな高速無線ネットワーク,切手より小さく安価で,より広く利用されるアクティブRFIDタグ.それらのテクノロジがやがて手に入るだろう.だが,それをどう利用するのか? なくした鍵や靴下やリモコンを見つけるためか,それともペットや家族の居場所を知るためか? 時間的,空間的データとして自分の行動を記録するためだろうか? いまはまだ見るからに変わり種としか言えないもののうちで,どれが普通のものになっている運命にあるのか? これは,未来主義者であるSF作家ブルース・スターリングが提起し回答した問題である.彼は「スパイム (spime)」と呼ばれる,自己露出的でユーザ設定可能な新種のオブジェクトについて記述している.

スパイムについて知っておくべき最重要ポイントは,それが時間的,空間的に正確に識別できることである.スパイムは履歴を持つ.記録され,追跡され,リスト化され,常に何らかのストーリーとの関連を持つ.スパイムはアイデンティティを備えており,情報が記録される過程において主導的役割を果たす.そしてGoogleと同様に,検索を可能にする.*1


(『アンビエント・ファインダビリティ』pp.107-8)


アンビエント・ファインダビリティ ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅

アンビエント・ファインダビリティ ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅



2008-04-12追記

関連しそうな記事:「バーコードに代わるRFID識別技術の可能性」− Wired Vision

*1:Bruce Sterling, "When Blobject Rule the Earth":原文訳文