"Ento Box: The Elegant Insect Meal Of The Future"
原文:"Ento Box: The Elegant Insect Meal Of The Future"
虫はタンパク質豊富で,飼育しやすく,そして……あんまりよろこんで食べたいものじゃない.でも,そんな虫でも,ステキでおいしそうな盛りつけにして出されたなら,どうだろう? この6本脚のいきものこそが20年後の食べ物だとしたら,料理はこんないい感じの外見になってくれた方がうれしいよね.
世界中で消費されてはいるものの,虫を食べるなんていうと西洋人は軽く吐き気を催してしまいがちだ.でも,イギリスのデザイン学生のグループによる新しいプロジェクトでは,食用昆虫をもっとグルメなものに見せられないかと考えている.
これまで,前衛的なシェフが昆虫食を世間に広めようとがんばってみたことはときどきあった.でも,この学生たちのアプローチでは,昆虫食の問題を美食じゃなくてデザインの問題として取り上げている:つまり,「虫をもっとおいしそうにみせるにはどうしたらいい?」という問題にしたんだ.その答えがエントー・ボックスだ(これは「弁当箱(ベントーボックス)」と「昆虫学(エントモロジー)」の混成語).ページ上部のスライドショーをクリックしてもらえば,未来にみんなが昆虫ベースの食品をどう優雅に召し上がることになるかごらんいただける.
これはたんにぼくらの好みの狭さを考え直させようってだけのわるふざけじゃあない.西洋の食事はたしかにおいしいけれど,ぼくらの惑星にとって問題をはらんでいる.牛の大群は,環境にあんまり優しくはない:牛たちのゲップは気候変動の原因になるし,牛の飼育に必要とされる飼料は,他にもっとうまい用途がありそうなものだ.豚の飼育も同様によくない.それに,こうしたことは事実の問題で,他にも好みに合うか合わないかわからない動物を食べることには倫理的な問題がひそんでいるかもしれない.
その反面で,こうした大量の持続不可能な家畜によって提供されるタンパク質豊富な食事は,先進国ならではのことだ.インドや中国が中流階層にまで上昇してきたらどうするだろう? いまよりはるかに大量のタンパク質を摂取し始めることだろう.そうなれば,さらに大量の家畜が必要になる(それに,戦略的ブタ備蓄もね).世界の人たちに「むかしにもどってくれないか」とお願いできるとは思えないし,合成食肉が確実なものとなるにはまだまだ道のりは長そうだ.そこでタンパク質摂取の最善策となるのが,そう,昆虫だ.そこでこのエントー・ボックスというわけ.
これはただの試作品じゃなくて,学生たちはシェフと協力してホンモノの昆虫を使ったレシピを考案した.発案者である王立美術工芸大学とインペリアル・コレッジ・ロンドンの学生4人はこう記している:昆虫は「伝統的な家畜よりも空間とエネルギーの効率にすぐれ,私たちが好まない作物もよろこんで食べてくれる.昆虫はタンパク質も豊富で,低脂肪・低コレストロールなうえに,オメガ3脂肪酸のような栄養素も豊富に含んでいる.」
こうした利点をすべて取り入れるために,学生たちはこのステキなエントー・ボックスをデザインした.ページ上部の写真にあるようなバッタたちをお皿に盛ってムシャムシャやるかわりに,バッタのことをあんまり意識せずに持続可能なタンパク質を楽しめる.ただ,学生たちとしては,エントー・ボックスがただの入り口になってくれることを願っている.彼らの今後の事業見通しでは,2020年までに,昆虫をおしゃれな食べ物にいちいち仕上げるような繊細なことは用済みにしてしまい,手にいっぱいのバッタどもをみんながムシャムシャやるようになっていることを願っている.ちょっと思い描きにくいけれど,それしか選択肢はないのかもしれない.
いえーい,あふぃりえいと,あふぃりえいとーV(・∀・)V