どんな分野にもスターターキットがある

  • どんな分野でも,「これは基本的に正しい」とか「とりあえずはここを押さえてから面倒なことを考えよう」という事項がひととおりあります.
  • それなりに研究が蓄積された分野では,そういう事項は教科書にまとめられます.
  • 教科書的な知識をひとまず押さえずにその分野の個別イシューを検討するわけにはいきません.が,教科書で全部解決するわけではありません.
  • たとえば言語の研究で Xバーを知らないで統語論をやるわけにいきませんが,それで話がすむと思う人はいないでしょう.*1
  • また,経済の分野ではたとえば比較優位の話や自由貿易の話がでてきます.それを知らずに議論するわけにはいきませんが,それで話がすむと思う経済学者はいないでしょう.
  • どんな分野にも,まずはこのへんを押さえましょうというスターターキットがあります.それで話が終わるなんてことはありませんが,それをやらないでまともな議論ができるとも思えません.

*1:余談:思想系の方などがたまにソシュールを──そしてソシュールだけを──参照して言語論を展開されているのを読むたび,「最初に参照すべきはソシュールではなく,また『デカルト言語学』でもなく,『フロムキンの言語学』ではないか」と思っておりますです.