ダロン・アセモグル「人的資本政策と所得分配:分析のフレームワークと先行研究の検討」【アブストラクト】
コメント欄で稲葉先生が挙げておられる文献を探してみました*1.これでしょうか:
Daron Acemoglu, "Human Capital Policies and the Distribution of Income: A Framework for Analysis and Literature Review,"
New Zealand Treasury Working Paper 01/03
概要を訳すとこんなふうに書いてあります:
Abstract
OECD諸国の多くで所得と賃金の格差が急速に大きくなっている.本レポートでは,賃金・所得の格差の決定要因に関する研究をサーベイし,政策分析のフレームワークを提示する.焦点をおくのは人的資本政策だが,所得格差を減少させるこれ以外の政策も考察する.
本レポートの結論は,OECD諸国で拡大した所得格差はより大きな賃金格差とより高度な技能プレミアムを反映したものであるということ,そして,技能プレミアムを上昇させた原因としてもっとも蓋然性の高いのは技能と教育への需要を増大させた技術変化であるということ,この2点である.ただし,たとえば最低賃金を定める法や労働組合による交渉の重要性といった労働市場制度の変化もまたなんらかの役割を果たしているらしい.たしかに技能の供給には有益な効果があるものの,格差を縮めるもっとも有効な政策は,賃金分配の頂点と底辺の間に横たわる技能のギャップをせばめることであろう.たとえば中等教育の質を改善したり,オン・ザ・ジョブ・トレーニングを振興するといったことがこれにあたる.
本文を覗いてみたらみっちり100ページもあってのけぞりました.