「また才能の無駄遣いかww」


野尻ボード」から:4月20日に開催される Make:Tokyo Meetingニコニコ技術部の有志が参加とのことです.


ニコニコ技術部有志 @ Make: Tokyo Meeting」:

Make 日本語版 Vol.4にも寄稿していただいたSF作家の野尻抱介さんをはじめとしたニコニコ技術部の有志が「ニコニコ動画における初音ミク実体化ムーブメント」に関するプレゼンテーションとニコニコ技術部作品集の展示で参加します。


ニコニコ動画の「Make:Tokyo」タグには16の動画がかかります.


動画を埋め込むので【続きを読む】を挟みます

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Chapter 10: HISTORICAL PERSPECTIVES:[10-49]〜[10-50]


SFAA翻訳のお手伝い:


黒影さんによる進捗状況のまとめによると,全665パラグラフのうち637が完了したようです(「SFAAの翻訳進捗が95%に達しました。」).あともう一息ですね.\(^_^)/


[10-49]

病原菌の発見

有史以来,人々は病気についてさまざまな説明を生み出してきた.多くの病気は精神的なものによるのだとみなされてきた──その人物の罪業への罰や,神や精霊の気まぐれな行いによるものとみられていたのである.古代からもっとも広く立てられてきた生物学的理論は,「病気はなんらかの体液の不均衡による」というものだった(ここでいう体液とは仮説上の液体で,その効果は記述されていたものの,化学的にこれと特定されてはいなかった).このため,数千年にわたり,病気の治療といえば超自然的な力に訴えようとして供物や生け贄をささげたり祈ったりするか,あるいは体液の調和をとろうとして吐瀉をうながしたり瀉血したり腹を下させたりすることだった.しかし,19世紀になって病原菌理論が登場すると,病気を引き起こす原因についての説明が変わるとともに,その治療法も性質を変えた.

[10-50]
遅くとも19世紀までには,病気の原因は自然的なものであり,病原体は身体の外部にあり,したがって医学はそうした病原体を突き止めてこれに対抗する化学物質をみつけるべきであるという思潮があらわれていた.しかし,まさかそのように病気を引き起こす病原体の一部には目に見えない生物があろうとは誰も考えていなかった.そうした生物はまだ発見されておらず,想像すらされていなかったためである.17世紀に顕微鏡のレンズと設計が改善されたことが,顕微鏡サイズの小さな植物や動物のつくる広大な新世界の発見につながった.そして,そこにバクテリア酵母菌がいたのだ.しかし,こうした微生物が発見されたものの,これらが人間やその他の生物にどのような効果をもたらすのかまでは窺い知れなかった.


この後つづけて [10-53] までやりたいと思います.

Chapter 10: HISTORICAL PERSPECTIVES:[10-51]〜[10-53]


続きです.

[10-51]
病原菌理論ともっとも結びつきの強い人名と言えば,フランスの化学者ルイ・パストゥールだ.微生物と病気との関連はたちどころに見てとれるわけではない──特に,(いま我々が知るように)大半の微生物は病気を引き起こさず,また我々にとって有益なものも多いのがその理由だ.パストゥールが微生物の役割を発見するに至ったのは,牛乳やワインを腐らせてしまう原因の研究をとおしてだ.腐敗や発酵は空気中から微生物が牛乳やワインに入り込んで急速に増殖し老廃物を生み出すためであることを彼は証明した.微生物を遮断したり熱で駆除した場合には食べ物が腐らないことを示したのだ.

[10-52]
実践的な治療法をみつけるべく動物の病気の研究に向かったパストゥールは,ここでも微生物が関与していることを示した.この過程で彼は病気を起こす生物──病原菌──の感染によって体内に免疫ができ,それ以後は同じ病原菌による感染が防がれるのを発見した.じっさいに病気にかからずに体内に免疫をつくるワクチンを生み出すことが可能だとわかったのである.パストゥール当人は特定の病気が特定のこれと同定可能な病原菌によって引き起こされると厳密に実証したわけではない.しかしそうした研究は他の化学者たちによってまもなく達成された.

[10-53]
病原菌理論を受け入れた結果,科学と社会の双方に多大な変化が生じた.生物学者は微生物の同定と調査に向かい,数千種にも及ぶバクテリアやウイルスを発見し,生物どうしの相互作用についての理解を深めていった.実用面での帰結としては,人間の医療行為が次第に変わっていった──食べ物と水の安全な取り扱い,牛乳の加熱殺菌,公衆衛生のさまざまな手段の使用,隔離,予防注射,清潔外科手技が行われるようになり,さらには一部の病気は実質的に根絶された.今日では,高性能な画像化の現代的テクノロジーやバイオテクノロジーによって,どのようにして微生物が病気を引き起こし,どのようにして免疫系がこれに対抗するのかを研究するのが可能となっただけでなく,それらの遺伝子操作の方法まで調べられるようになっている.


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