Yalcin & Knobe (2010 squib)「『ファット・トニーは死んだかもしれない』:認識的法助動詞に関する実験の覚え書き」


ある「立ち聞き」場面設定において認識様相の言明と様相なしの定言的断定が真だと判断するか偽だと判断するかを調査しました,という squib:


場面設定と例文は次のとおり:

Fat Tony is a mobster who has faked his own death in order to evade the police. He secretly plants highly compelling evidence of his murder at the docks. The evidence is discovered by the authorities, and word gets out about his apparent death. The next evening, from his safehouse, Fat Tony watches a panel of experts on the news discussing the question of whether he is dead.
ヤクザのファット・トニーは,警察の手を逃れるために死亡を装っている.彼は,自分が殺害されたと思わせる非常に説得力のある証拠を波止場に秘密裏に仕込む.その証拠が当局により発見され,どうやら彼は死んだらしいと噂が広まる.翌朝,隠れ家でファット・トニーはニュース番組で専門家たちが自分が死んだかどうかを論じているのを視聴する.

  • Expert A has had a good look at the evidence found at the scene. “Fat Tony is dead,” he says.
    • 現場で発見された証拠を吟味した専門家 A は,「ファット・トニーは死にました」と述べる.
  • Expert B has also had a good look at the evidence, but his assessment is more cautious. “Fat Tony might be dead,” B says.
    • 同じく現場で発見された証拠を吟味した専門家 B は,もっと用心深い判断をして,「ファット・トニーは死んだかもしれません」と述べる.


著者たちは,この場面設定を128人に見せて,次の4項目からランダムに選ばれたものを質問した:

  • 専門家 A の言ったことは真である.
  • 専門家 A の言ったことは偽である.
  • 専門家 B の言ったことは真である.
  • 専門家 B の言ったことは偽である.


与えられた項目について,「完全に反対」(1) から「完全に賛成」(7) までの点数をつけるようもとめられた.中間である 4点には「どちらでもない」("in between") と記した.

結果の平均値は以下のとおり:

- IS MIGHT
1.71 (1.38) 4.86 (2.45)
6.11 (1.70) 1.94 (1.67)


細かいことは原文に当たってください.質問されても困りますし.