Chapter 11: COMMON THEMES:[11-27]〜[11-29]


SFAA翻訳のお手伝い:


今日の範囲のうち,とくに [11-27] の訳は我ながらおかしいような気がします.何かお気づきの方は遠慮なくご指摘ください.

[11-27]

保存

システムの一部の側面には,つねに保存されるという優れた特性がある.ある場所で量が減るとちょうどそれと同じ分が別の場所に生じるのだ.システムが一定の量に閉じていて境界の内外に出入りするものがないとき,それ以外の点でシステムにどんな変化があろうとも内部の総量は変わらない.システムの内部でなにが起ころうと──その一部が分解してしまったり,爆発したり,崩壊したり,なんらかの点で変化しようとも──総量は厳密に一定のままとなる.たとえばある量のダイナマイトが爆発したとして,その全質量,運動量,その生成物(かけら,気体,熱,光など)のエネルギーは一定のままである.

[11-28]

対称性

総量の恒常性と並んで,形態の恒常性というものもある.ピンポン球はどこからみてもまったく同じに見える.他方で,タマゴは縦軸で回転させていると見え方は変わらないけれども,横軸で回転させると見え方が変わる.人間の顔は上下逆にすると非常に異なって見えるが,鏡の要領で左右を反転させた場合はそうでもない.八角形の道路標識やヒトデは,一定の角度で回転させた場合,見え方が変わらない.自然な形態の対称性は,対称的な発展過程を示している.たとえば,陶器が対称的なのは〔ろくろで回しているとき〕手の位置を変えないまま回転させて成形したためだ.陸生動物はほぼ全て,だいたい左右対称になっているが,これは初期胚における細胞の対称的な分布にさかのぼることができる.

[11-29]
しかし,対称性は幾何学だけの問題にとどまらない.数や記号の操作にも不変性がみられる.もっとも単純なものをあげるとしたら,足し算のX+Yの項を入れ替えても結果は同じになるということがそれにあたるかもしれない:X+Y=Y+Xだ.しかし,X-Yではまた対称性の種類がちがってくる:Y-XはX+Yの負数になる.より高度な数学では,非常に精妙な種類の対称性がでてくることもある.この世界の事物のふるまい方をモデル化するのに数学は広く使われているので,数学的な記述における対称性が物理現象の基底にある思いがけない対称性を示唆することもある.


 対応する原文はこちらです.

 これで11章は終わりのはず.