ジャッケンドフ+ピンカー vs. チョムスキー+ハウザー+フィッチ論争:Language Log でのまとめ


ジャッケンドフせんせいの『思考と意味のユーザーズガイド』訳読からのながれで再訪.

もうずいぶん昔のことですが,『サイエンス』誌に掲載されたハウザー+チョムスキー+フィッチの「言語機能」論文に端を発する,ジャッケンドフ+ピンカーとの論争がありまして,これまたずいぶん前に Language Log で Liberman が論争の流れをまとめていました:

Mark Liberman "JP VERSUS FHC+CHF VERSUS PJ VERSUS HCF" (Language Log, August 25, 2005)


ウェブ上にある論文へのリンクを拾うついでに,彼のまとめをかんたんに借用しておきます(※注意:原文に忠実な翻訳ではありません):

  • ステップ 1(HCF, 2002):ハウザー+チョムスキー+フィッチによる『サイエンス』誌掲載論文がでる.
    • Marc Hauser, Noam Chomsky, and Tecumseh Fitch, "The Faculty of Language: What Is It, Who Has It, and How Did It Evolve?" (Science, Vol 298, Issue 5598, 1569-157, 22 November 2002). 無料版アリ(リンク切れ).〔邦訳:M. D. ハウザー,N. チョムスキー,W. T. フィッチ,「言語能力:それは何か,誰が持つのか,どう進化したのか?」『科学』(長谷川太丞=訳,Vol. 74, No. 7, 岩波書店,2004年).
  • ステップ 2 (PJ, 2004):ピンカー+ジャッケンドフによる批判論文.
    • Steven Pinker and Ray Jackendoff, "The faculty of language: what's special about it?" (Cognition, Volume 95, Issue 2, March 2005, pp. 201-236).無料版アリ〔当時のリンクは MS Word ファイル! ピンカーのサイトに正式版のPDFファイルが掲載されている:ここ〕.
  • ステップ 3 (FHC, 2005): フィッチ+ハウザー+チョムスキーによる反論.
    • "The evolution of the language faculty: Clarifications and implications"(無料版アリ〔リンク切れ〕).アブストラクトで「オンラインの付論」に言及あり.「彼らによる[ミニマリスト・プログラムの]特徴付けにみられる不正確な点を詳細に述べる」とある.付論はこのオンライン論文では見あたらないが,ここにある〔リンク切れ〕.著者の順序は "N. Chomsky, M. D. Hauser and W. T. Fitch" で 題名は "Appendix. The Minimalist Program."
  • ステップ 4 (JP, 2005):ジャッケンドフとピンカーがこの反論に再反論.
    • "The Nature of the Language Faculty and its Implications for Evolution of Language"(Cognition誌では「印刷中」とあるが,まだオンライン版はない―― 2005年3月25日現在で無料版アリ〔これも word ファイル.正式版はこちら〕).


shokou5さんが当時レジュメ的なエントリを書いてらっしゃる: