not ... because の2とおりの解釈とその含意

ティム・ハーフォードの TED講演 (http://www.ted.com/talks/tim_harford.html) から:

Now I'm not telling you this story because I think Archie Cochrane is a dude, although Archie Cochrane is a dude.
I'm not even telling you the story because I think we should be running more carefully controlled randomized trials in all aspects of public policy, although I think that would also be completely awesome.


not ... because のかたちで「~だから…しているのではありません」という否定.

1文目は「コクランがたいした奴だからこの話を語ってるわけじゃあありません.たしかに,コクランはたいした奴ですけどね」
2文目は「それに,公共政策のあらゆる点からみて無作為統制実験が望ましいと思うからこの話を語っているのでもありません.たしかに,そうできればこの上なくすばらしいと思いますけどね」

どちらも,because 節と同じ内容を although で繰り返している.

なぜそうしているのか?

not ... because で,理由節が否定されているが,ここには2とおりの解釈の余地がある.1つは,理由節の内容が事実であることの否定.もう1つは,理由節の内容が主節の理由・原因であることの否定.

後者の場合,理由節の内容は事実であってもかまわない.

上記の引用文で付け足されている although の譲歩節は,この理由ではないが事実にはちがいないことを念押ししている.