ウィトゲンシュタイン=ハート meets 谷啓


長谷部恭男「『ガチョーン!』の適切さについて」『UP』2007年11月号, pp.28-31

子どもの頃,牛乳石鹼提供の「シャボン玉ホリデー」をよく見ていた.谷啓が「ガチョーン!」とコントを締めていたあれである.当時から「ガチョーン!」が何を意味しているかは不明であったが,それでも,いかなる場面で発せられるべき言葉であるかは分かる.あの「ガチョーン!」はうまく利いていたとか,いやスベッたとか評価することができる.
(p.28)

ガチョーン!」の背後にも,対応するプラトンイデアがあるわけではない.何を意味しているかは分からないが,それでも,我々は適切な「ガチョーン!」と不適切な「ガチョーン!」を具体的適用において区別することができる.その勘所を心得ることは,仲間うちの秘儀,仲間同士のコミュニケーションに参画するための必須の要件である.あやふやさを含めて,法律家にとっての認定のルールもそれと異なるところはない.「ガチョーン!」と同じようにやっていくしかないわけである.
(p.31)