水光雅則「訳者のあとがき」より抜粋

さて,訳者は,学生から言語を研究するために何を読めばよいかと尋ねられたら,迷わずノーム・チョムスキーとドワイト・ボリンジャー(Dwight L. Bolinger),それにレイ・ジャッケンドフを読みなさいと答えます.チョムスキーからは言語に関する議論を突き詰めるとはどういうことなのかを学び,ボリンジャーからは言語事実を観察するとはどういうことなのかを学んで欲しいからです.そして,ジャッケンドフさんからは,広く渉猟し,視座を広げることが,いかに「理解」ということにとって重要であるかという平凡な教訓を感激しながら体験して欲しいからです.
(水光雅則「訳者のあとがき」,レイ・ジャッケンドフ『心のパターン』岩波書店,2004年,pp.287-8)