「環境にやさしく」の結果は


ヤバい経済学ブログから,Daniel Hamermesh のエントリを訳しました:

「環境にやさしく」の結果は

(The Consequences of Being Green)


By Daniel Hamermesh


俳優の Ed Begley Jr. は広く読まれている論説文を書いていて,じぶんがやってる環境にやさしい活動をあれこれ喧伝している.なかでも特筆されているのは固定式の自転車発電機で,運動しながらつくった電気でトーストを2枚焼けるそうだ.


 さて,この2枚のトーストを食べると200カロリーになる.で,彼が自転車で燃焼した分は少なくみても100カロリーはある.すると,彼のエコな運動の半分はそれで消えてしまってるわけだ.なにしろ,体重を維持するにはよそで他に食べ物を摂取する必要があるのだから〔※200カロリーの摂取は必須であり,運動で失った100をどこかで補う必要があると前提している〕.その食べ物の栽培や配送だって環境に影響をもたらしているし,件の自転車の製造にしてもそこは同じだ.


 このことは,お金持ちの有名人たちが得意げに語るあれこれの環境保護活動がかかえている一般的な均衡の難しさを例示してくれている.


 ひとつの市場で環境にやさしくしてみると,別の市場に影響がでてくる.その最良の例は,おそらく,農家に助成金を出してトウモロコシ栽培に切り替えさせ,トウモロコシからエタノールを精製しようという例の見当違いの努力だろう.ガソリンの消費者にとっては結構なことだし,ガソリンによる環境へのダメージ削減という点でも結構なことだ.でも,トウモロコシは水を大量に費消するし(環境資源の損耗),もっと言えばそうやって助成することで世界規模の食料価格上昇に拍車をかけてしまっている.


 ルールをつくった方がいい:ひとつの市場で環境にやさしくする前に,それが他の市場にもたらす影響をよくよく考えておくようにするべきだ.


(じつは第2パラグラフの「なぜなら〜」の箇所でずいぶんと頭を悩ませてしまいました.「自転車こいでダイエットしてるんだろうし,それに100カロリー分はまだ残ってるのに,なんで“他の食べ物”(additional food) が必要なんだろう?」とまったくわからなくなってしまったんです.200カロリーは必須だという前提があるんだと考えてやっと納得しました.頭がかたくなるのってヤですね.)