デイヴィドソンの「統一理論」について@インタラクティブ読書ノート別館の別館


下記の一連のエントリを見ると,デイヴィドソンをちゃんと読まなきゃダメだと決意を新たにさせられます.

本書がどうして「デイヴィドソン自身によるデイヴィドソン入門書」なのかというと、普通「デイヴィドソン哲学」というと行為論と意味論との二系列からなるものとして理解されているのだが、本書収録の諸論文においては、その両者をより大きな「心の哲学」体系へと統合した「統一理論」が素描されているからである。

 その際キーになっているのは「欲求」の概念であり、信念に対する欲求の先行性、根底性が主張されている。その理論構築に際しては、、彼自身もキャリアの初期において共同研究に参加していた意思決定理論のアイディア、ことに期待効用理論が重要な意味を持っている。非常に大雑把に言えば、フォン=ノイマン・モルゲンシュテルン効用関数にしたがっているという意味で合理的な主体が、将来の不確実な事象に対して割り当てる主観確率を、まさに命題的態度としての「信念」と見なすわけである。


ぼくのような半端な読者にとって,デイヴィドソンといえば3つばかりの議論が断片的に思い浮かぶだけです:第一に概念枠相対主義の批判と寛容 (charity) の原理の提示であり,第二に副詞と行為文の検討にはじまる出来事の意味論,そして第三に叙法の議論,という具合です.こういうヴィジョンはまったく知りませんでした.



追記トラックバックが自動的に送信される設定になっていたため,先方の稲葉先生のブログに3件も送信されてしまいました.ご迷惑をおかけして申し訳ありません.さきほど設定を変更しました.いちど送信されてしまうと,こちらでは削除できないようです.