EDGEより:休日の読書リスト


EDGE に「休日の読書リスト」が掲載されています:

THIRD CULTURE HOLIDAY READING: Books By Edge Contributors (and others) ― 2007


冒頭にある Brockman の文章:

そろそろ「今年の収穫本」が出回る時期だ.毎度,主流の書評メディアは「世界はどんなふうに成り立っているのか」とか「僕らは何者なのか」といった深い問いにそっぽを向いて,自己愛と有名人ゴシップと文壇党派をもちあげている.僕が1991年に「創発する第三の文化」で書いたことは,今日でも当てはまる:

1950 年代のフロイトマルクスモダニズムの教養は,1990年代の考える人々にとっては十分な資質にならない.それどころか,伝統的なアメリカの知識人は,あるイミでますます反動的になっているうえに,僕らの時代が達成した真にすばらしい知識の多くについて尊大なまでに(そして意固地になって)無知なままでいる.彼らの文化は,科学を無視していて,経験的でないこともしばしばだ.独自の隠語を使って,自分たちの内輪に閉じこもっている.その主な特徴といえば,コメントにコメントをつけてまわり,それを果てなく繰り返してついには現実世界を見失うところまですすむことだ.

さまざまな課題に僕らがひとつの国,ひとつの文化として直面しているのに,『ニューヨーク・タイムス』の「今年の優良書100冊」に科学書が一冊もなかったり(思考についての本もないにひとしい),『エコノミスト』の「2007年・今年の本」に科学の項目がなかったりするのは,いったいどういうわけだ? せいぜい,『ニューヨーカー』の「今年取り上げた本一覧」にオリバー・サックスが載っているだけじゃないか.
 科学とテクノロジーを知的世界の中心におかずに──文学やアートとならんで科学とテクノロジーを包摂する学知の一体性をもたずに── むしろ公認の文化はそれをけり出しているしまつだ.科学とテクノロジーは,一種の専門的な特別の知識だと思われている.エリート大学は,学部生の教養教育から科学を放り出している──そうやって科学から遠ざけられてしまった多くの若者の知性は,あまりに周縁化されていて,いざ彼らが支配的なメディアのデスクになったときにはとてもじゃないけれど物事を決定するための侃々諤々の議論に加わることなんてできない.とっかかりすらないから,彼らは自分たちが何を知らないのかもわからない.
 だけど,今日の科学はこの宇宙と人間についての僕らの理解を変化させ続けているわけで,科学リテラシーはいまの世界の差し迫った問題の大半に対処するのに不可欠だ.さいわい,いま僕らが生きている時代には第三文化の知識人──科学者・科学ジャーナリスト・科学的な精神をもった著述者たち──がいて,最良のノンフィクションを書いている.読み手を退屈させない彼らの本は,幅広い読者に科学的な洞察を伝えている.
 EDGEの参加者(そしてそれ以外の科学的精神のコミュニティの人々)によって2007年に出版された本のリストを公開する.休日の楽しみや挑戦に読んでもらえれば嬉しい.

John Brockman
(出版者・編集者)


 このあとに70冊のリストが続いているのですが,個人的に興味をそそるものをピックアップしてみます:

▼Margalit Fox, Talking Hands: What Sign Language Reveals About the Mind, Simon & Schuster; 1 edition (August 21, 2007)
──手話言語から脳=精神についてわかること.

Talking Hands: What Sign Language Reveals About the Mind

Talking Hands: What Sign Language Reveals About the Mind

▼Steven Pinker, The Stuff of Thought: Language as a Window into Human Nature, Viking (September 11, 2007)
──スティーブン・ピンカーの新著.これは今日から読み始めました\(=ω=.)

The Stuff of Thought

The Stuff of Thought

▼Sherry Turkle (ed.), Evocative Objects: Things We Think With, The MIT Press (August 31, 2007)
──「考えを触発するモノ」をめぐる科学者や哲学者のエッセイ集のようです.

Evocative Objects: Things We Think With

Evocative Objects: Things We Think With

▼Robert H. Frank, The Economic Naturalist: In Search of Explanations for Everyday Enigmas, Basic Books (May 21, 2007)

The Economic Naturalist: In Search of Explanations for Everyday Enigmas

The Economic Naturalist: In Search of Explanations for Everyday Enigmas

▼David Levy, Love and Sex with Robots: The Evolution of Human-Robot Relationships, Harper (November 6, 2007)
──タイトルがハートを鷲づかみですw いや,真面目に関心があるんですが.

Love and Sex with Robots: The Evolution of Human-Robot Relationships

Love and Sex with Robots: The Evolution of Human-Robot Relationships